アンジェ城は、フランスを代表する中世の要塞の一つです。13世紀、ルイ9世(聖王ルイ)の命により、アンジュー地方の玄関口、メーヌ川を見下ろす高台に築かれたこの城は、暗色の片岩と淡い石灰岩でできた巨大な環状の城壁が特徴。優雅なルネサンス様式の歓楽城館で知られるロワール地方にあって、アンジェはあくまで要塞としての矜持を貫いています。全長約500メートルの城壁に沿って連なる17基の巨大な円形の太鼓塔は、外から見ればまさに軍事力の象徴。しかし門をくぐると一変し、城壁に守られた庭園、王の居館、礼拝堂が静かに広がります。
最大の至宝は「黙示録タペストリー」――現存する世界最古かつ最大の連続物語タペストリーです。1373年から1382年にかけて、アンジュー公ルイ1世のために織られ、当初は全長100メートル以上、約840平方メートルの羊毛織物で、『ヨハネの黙示録』に基づく67の場面が描かれていました。現在は城内の専用ギャラリーに保存・展示され、天使、獣、そして終末の光景を描いた中世の幻想的な世界が、6世紀以上を経た今もなお鮮やかな色彩と細部で訪れる者を驚嘆させます。その重要性が認められ、2023年にはユネスコの「世界の記憶」に登録されました。
タペストリー以外にも、城壁の上を一周する「城壁遊歩道」からはメーヌ川、アンジェの街並み、そして周辺の田園地帯を一望できます。さらに王の居館、優美な礼拝堂、深い空堀に設けられた庭園(時折シカが飼われることも)も見どころです。当城は「時間指定入場券」を採用しています。ご希望の来訪日と入場時間帯をお選びいただければ、私たちが手配。チケット売り場の列に並ばずにスムーズに入場し、まずはご自身が最も見たいエリアへとお進みいただけます。